愛してやまない

観劇ログ、はじめました。

悪い芝居「暴動のあと、さみしいポップニューワールド」「野性の恋」

 悪い芝居新作二本立て「暴動のあと、さみしいポップニューワールド」「野性の恋」観劇しました。

「暴動のあと、さみしいポップニューワールド」

 今回は結構ライトめなお話に感じたな。コミカルに笑わせにくるシーンも多いけど、公演時間は約2時間・休憩なしなのでそういう意味でのヘビーさはある笑 椅子もね〜。

 私は悪い芝居の始まる時の暗転だったり照明だったり、客側にも構えさせるところがすきなんですよね。今回はブザーが鳴って暗転、BGM。照明がつく頃には現実から非現実に意識が切り替わってる。導入が上手だし、頭でぐっと惹きつける。頭と最後が繋がるのも良い。
 結局主人公の煙子には何一つ残らなかったけれど、もうもともと手に持ってた範囲だけでええやん?って感じのお話。

 私は人生で何度か永嶋柊吾くんに出会ってしまう運命なんですが、彼のちょっと生きづらくて、自分のやりたいことを優先するあまりほんの少し他人の感情に無神経になってしまうような役、やっぱすきなんですよね。声色の変え方が多彩なので、ラジオオマージュのシーンがすきでした。

 全体的にふざけてたな〜。悪ノリがひどくてどこまで筋なのかわかんなかった笑 こねくりまわす脚本のイメージだけど、今回はそれ以上。歌手になる話なのに最後まで歌わない点、煙子の中の歌手という概念を感じて、よかったですね。その人の中にしかない感性が、きちんとまっすぐに生きているものがすきなので。

「野性の恋」

 ラストナイト〜に近いって言ってた方かな?粘着男と粘着女のこじれた恋と愛。人間の恋愛はどうしても契約じみてしまうけど、人間だって動物なんだから、あの人とどこかに行きたいとかそんなシンプルな動機(本能)で一緒にいたらいい。けれど、それは恋ではなく愛だ。というテーマ。

 時空を飛び越える少年に恋をする粘着女。その少年と昔付き合っていた人妻にずっと恋をしていた粘着男。過去から人妻を殺すためにやってきた少年。すべての登場人物が少しずつネジが外れていて、ぐらぐらになりながらバランスをとっているみたい。

「私たちは恋する前に愛し始めちゃったんです」からの畳み掛けるような狂気と愛の連鎖に震えた。抑圧していた狂気を表に出す瞬間の演出が本当にすき。いつもヒントしか言わないのにね。すべてが伏線で、ループで。すべてが繋がった瞬間、暗転中で狂気に震えてしまった。粘着質な人間がただ優しいわけがないんだよな。他にも素行に問題ありだったけど。

 世界が終わりかけたとき、愛で救ってもらえるならこんなに素敵なことはない。動物の、野性の愛でいい。怖さと安堵で二回泣いた。各々が各々の世界と尺度で生きているから、分かり合えない人間が多いんだけど、そういう中で寄り添える関係性ってメッチャいい。ぐちゃぐちゃ同士、って言い方も。
 不格好に見えても、愛で繋がれるのであれば、動物として成立している、というか。うまく説明できないな。すきな愛の概念でした。