愛してやまない

観劇ログ、はじめました。

鑑賞ログ(2020/02)

個別記事にしなかった鑑賞ログのまとめ。

2020/02

ARASHI EXHIBITION “JOURNEY”嵐を旅する展覧会

 愛が詰まった展示で、とても満足でした。最初の部屋から最後の部屋まで、嵐の大事にしているいろんなものを見せてもらえた。こんなこともあったね。そんなことしてたんだね。って時の流れを感じながら幸せな時間を過ごせた。素敵な展示会だった。
 テキストはじっくり読みたいし、写真はいくらでも眺めていたいね。もう少しゆっくりしたかったな。どうしても人が混み合うからね。でもあのオブジェクトの配置とかサイズは絶対、動線渋滞する*1
 
 自担の部屋でさめざめと泣くオタクはこの長い会期の中でも、私だけなんじゃないかなあ。キラキラがたくさんあったね。この部屋を作れるようになるまで、どれだけの苦労や消費があったんだろうと胸がいっぱいになってしまった。本当に、あまりの重さに言葉にならなかったよ。ほんの切れ端でいいので、これからもその輝きの裾を掴ませてほしい。自担をすきでよかったし、これからもすきでいたいな。

康本雅子「全自動煩悩ずいずい図」

 めくるめく人間の営みを全自動的に見せられる約二時間。いっそ機械的にすら見えるリピートやカットインの多用。それなのに、こんなにも暴力的で、毒々しくて生々しい。肉体の感触を視覚で感じている。
 人間のプリミティヴな生。煩悩?欲望?もっと生理的な、命の根底にあるもの。食、性、排泄。スピリチュアルを突き詰めて見つめると、肉体的な動作しかなくなってしまうのか。作中の言葉は記号みたいだと思った。象形って言ったほうが近いかな?‪ただ概念を象ったもの。‬
 前説でバグみたいに挟まれる「私を食べて」や、儀式的な食事、奉仕。噛み合わない負の感情の掛け合い。絡み合う、人。光景を思い出すだけで、ぞわぞわとした興奮が蘇ってくる。
 
 コンテンポラリーダンスというよりも傍目には実験作品と呼ぶほうがしっくりくるかもしれない。康本さん的には、この言い方は不本意かもしれないんですが。

小林賢太郎演劇作品「うるう」

 一人芝居+生演奏者というスタイルのファンタジー童話。肉体的にも本当に"うるう"にしか歳をとれない主人公と、そんな主人公と友達になりたい少年の温かな日常。友情。
 
 "うるう"にしか年齢を重ねられないなんて、普通ありえないこと。だから、友達もできないし、せっかく作り上げた人間関係もそのうち「あいつなんかおかしいよな」と気持ち悪がられて破綻してしまう。そんな孤独を抱えた男の軽薄な上っ面から繰り出す、小林さん節な台詞の数々。ひと学年ごとに四年ずつやる苦しみ、とかそういうシュールな設定も巧みに笑わせてくるけど、本当は笑えないことなんだよね。

映画「パラサイト 半地下の家族」

 全編通して、いらないシーンがなかったなあ。テンポ良く、なんでもないシーンでも軽快な掛け合いが楽しい。ドタバタコメディもあって、飽きないね。本当に始まりから終わりまで、ずーーーっとおもしろかった。良い映画だったな。
 
 あらすじやビジュアルでもっと暗い話かと思っていたけれど、構成とか雰囲気からはそんなに重く感じない。そこに生きる人々のバイタリティとか明るさが効いてる。たくましいんですよね。なのに、ストーリー自体はがつんと重いことやってる完璧な社会派映画。現代らしさを感じたのも良かった。社会から排除することも立派な武器になる。スマホってこわい。
 
 己の身分(卑しさ)に負けた父親と、幸せな未来を夢見る息子。生まれは呪いだし、ギフトでもある。でも、その呪いを肥大化させるのは自分の弱さ次第。半地下特有の湿った下水のような匂い。その生き方に染まっているかどうか。
 息子の決意を聞きながら、父親の「計画するから失敗する。無計画だったら失敗なんてしないさ」という皮肉が頭をよぎる。この計画も夢物語になるのかな。前向きに見えるけれど、その後のルートはわからない。いろんな感情が残る映画。
 
 

*1:開催場所によって多少違うのかもしれないけれど。